- リバーブやディレイ、エコーの違いがわからない
- とりあえず使ってるけどよくわかっていない
- ボーカルをうまく馴染ませたい
作曲ソフトにも標準で搭載されていることが多い「リバーブ」ですが、このエフェクトでどんな効果が得られるか知っていますか?
お風呂の中やカラオケのようなエコーのようになるというイメージだけ持っている人も多いんじゃないかと思います。
リバーブはMIXの中でもEQ、コンプ以上に個性が生まれる部分で、苦手な人が多い反面うまく扱うことができればライバルを圧倒的に出し抜くことができるので基礎を覚えておいて損はないです!
- リバーブの基本的な使い方がわかる
- MIXでボーカルが馴染む
- 音作りがうまくなる
DTM・MIXで使う「リバーブ」とは?
音楽制作やDTM、MIX等で頻繁に使用されている「リバーブ」。
これは音に残響をつけるエフェクトで、空間を表現するために使用されます。
残響は「直接音」「初期反射音」「後期反射音」の集合体で、これらを調整することで自然な響きを作り出します。
特にピアノやボーカルなどの音源にリアルな音場感を加えるだけでなく、自然な響きを作り出す効果も持つため、楽曲制作においては欠かせないツールとなっています。
リバーブの種類
リバーブには大まかに分けてアルゴリズムとコンボリューションの2つのタイプが存在します。
アルゴリズムタイプ:エコーや初期反射、後期反射などを計算して音の響きを模擬する方式。
コンボリューションタイプ:実際の空間を録音し、その特性(IR)を音に適用する方式。
基本的にはアルゴリズムが主流ですが、実際に存在する空間の臨場感を再現したい場合にはコンボリューションも使用します。
また、リバーブには空間の大きさや響き方でも種類が分かれています。
- 小さめの空間:ルーム(Room)、チャンバー(Chamber)など
- 大きめの空間:ホール(Hall)、チャーチ(Church)、カテドラル(Cathedral)など
- 特殊な空間表現:プレート(Plate)、スプリング(Spring)、シマー(Shimmer)など
などさまざまな種類があります。
それぞれの種類は特徴的な響きを持っているので、どんなサウンドなのかを覚えて音源や楽曲の雰囲気に合わせて選びましょう。
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ディレイとの違い
リバーブとディレイは、どちらも空間を表現する音響効果ですが、扱い方や効果の出方に違いがあります。
ディレイは音の遅延と反復を生成する効果で、音が一定の間隔で何度も鳴り続けます。
ディレイはいわゆる「やまびこ」!
一方、リバーブは音が室内で反響し、時間が経つにつれて消えていくような響きを作り出します。
ディレイは明確なリズム感を持つ音を出しますが、リバーブは音の余韻や広がりを表現します。
主な設定項目
ここからはリバーブの操作に役立つ主な設定項目について解説していきます。
設定項目を覚えて自由に操作ができれば、楽器や歌を自然に楽曲に馴染ませることができます。
プリディレイ
リバーブが発生するまでの時間を設定する項目です。
元の音と重なってあまりリバーブ音が聴こえない場合にこれを遅らせることで、自然にリバーブが聴こえやすくなります。
うまく設定をすることで、リズム感を持たせることも可能です。
ディケイ
リバーブが消えるまでの時間を調整する項目です。
リバーブタイムやテールと表現されることもあります。
短時間設定では小さな部屋やスペースを、長時間設定では大きなホールや教会を表現することが可能になります。
ルームサイズ
再現する空間の大きさを設定します。
小さなサイズは閉鎖的な空間を、大きなサイズは開放的で広がりのある空間を表現します。
プレートやホールなどのタイプを選択する場合もあります。
アーリーリフレクション
初期反射音のレベルを設定します。
初期反射音とは、音が直接耳に届く前に一度壁や天井などに反射した音です。
アーリーリフレクションの設定により、空間感をより現実的に再現することができます。
ディフュージョン
ディフュージョンは、響きの細かさや密度を調整するさまざまな設定項目の1つです。
部屋の形状や反射面を複雑にして音の拡散の仕方を変化させます。
これによって反響音の広がり具合を繊細に調整することが可能になっています。
ダンピング
リバーブのボリューム減衰速度(吸音率)を制御します。
低周波数を早く消すことでボーカルや楽器の把握感を高め、中域以降の残響を増やすことで音が広がる印象を作り出します。
Wet/Dry
Wet/Dryは、リバーブ音とドライ(元の音)のバランスを調整します。
ドライを多くすると直接音が強くなり、Wetを多くするとリバーブ音が強くなります。
このバランスを調整することで、音の前後感や浮遊感を表現することができます。
リバーブの使い方とコツ
リバーブの基本的な知識と設定項目を理解したところで、次にその使い方とコツについて解説します。
リバーブを効果的に使用するためには、どのような場面でどのような調整を行うべきかを理解することが重要です。
センドとインサートで使い分ける
リバーブはセンドとインサート、2つの方法で適用ができます。
センドは元の音をそのまま残しつつ、リバーブエフェクトを適用した音をミックスします。
これによって、音の立体感を出すことや複数の楽器に同じリバーブを適用することが可能になります。
一方、インサートは元の音に直接リバーブエフェクトを適用します。
特定の楽器やボーカルに特定のリバーブを強調したい場合などに活用できます。
基本はセンドだけど、明確に音作りのために必要な場合はインサート。
EQでフィルターをかける
リバーブにEQを組み合わせることで、より自然で美しい響きを作り出すことが可能になります。
高周波をカットすれば、ボーカルに自然な余韻を持たせることができます。
また、リバーブに低周波をかけすぎるとミックス全体が濁ってしまいますので、低周波をカットしてバランスを取ることが重要です。
EQ設定の例:ハイパスフィルターで600Hz以下をカット、ローパスで10kHz以上をカット。アビーロードカーブという手法。
≫【初心者必見】MIXにおけるEQ(イコライザー)の使い方とコツ
パンニングと組み合わせる
リバーブとパンニングを組み合わせることで、広がり感や立体感を一層引き立てることができます。
例えば元の音源を左にパンニングしてから、そのリバーブ音を右にパンニングすると広がりのあるステレオイメージを作り出すことができます。
センターに音が集まってしまいやすい人は特に、リバーブ音のパンニングを覚えておきましょう。
複数の種類を使う
リバーブタイプを1つだけに限らずに複数の種類を組み合わせることで、より深みと広がりのあるサウンドを表現できます。
原音に近い部分には部屋のような小さなリバーブ、遠い部分にはホールのような大きなリバーブを加えることで、メリハリのある音像を作り出すことができます。
1つのリバーブに初期反射音(ER)と後期反射音をコントロールする項目があるように、さらに大きい項目として、小さい空間と広い空間のリバーブを組み合わせることで楽曲全体を自然に馴染ませやすくすることができます。
かけすぎない
リバーブは適量がポイントですが、初心者ほどつい深くかけすぎてしまいやすい傾向があります。
かけすぎると全体像がぼやけてしまい、各楽器のポジションや音のクリアさが失われる恐れがあります。
最初はちょっと少なすぎるかな?と思う程度にとどめておくのがおすすめです。
オートメーションやサイドチェインで動的に使う
オートメーション機能を使ってリバーブの設定を曲中で変化させることやサイドチェイン機能を使って他のトラックの音量にリンクさせることで、さらにプロのような仕上がりに近づけることができます。
特にAメロ、サビなどのセクションごとにリバーブの量が変化することは多いのでオートメーションは必須です。
また、サイドチェインを使って自動的にリバーブ量をコントロールすることで、より自然に音楽全体に動きをつけることができます。
まとめ
リバーブは設定項目が多くややこしいので、しっかりと考え始めると非常に難しいエフェクトです。
リバーブをうまく扱えるようにするためには、とにかく様々な曲を聴いて分析することが重要になってきます。
EQ、コンプよりも個性が出るエフェクトで表現力が顕著に現れる部分なので、ぜひこだわってみてください。
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