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iZotope「Ozone 11」レビュー!誰でもプロ級のマスタリングができる!?

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AIがマスタリングをサポートしてくれる話題のプラグイン「Ozone(オゾン)」の最新バージョンが出ました!

僕はOzoneのバージョンは7からの使用していたんですが、気になるツールが増えたので早速最新のバージョンを使ってみました。

その結果、今回のバージョンアップでこれまで以上に圧倒的な進化を感じました。

反面、気になった点もあったのでまるごとレビューして行きたいと思います。

Ozone 11 のグレード

Ozone 11 には「Elements」「Standard」「Advanced」の3種類のグレードがあります。

グレードによって使用できる機能が制限されておりStandard以上だと、Ozone内のそれぞれのモジュール(エフェクト)を独立させて使うことができます。

1クリックでAIが処理してくれるマスターアシスタント機能をフル活用するためには「Advanced」が必須です。

新機能と前バージョンとの違い

Ozone 10から比べて以下のような機能が追加されました。

  • Stem Focus:2mixをステムに分離して各パートにモジュールを適用できる
  • Clarity:ラウドネスに影響を与えることなくクリアにするモジュール
  • Transient/Sustain:LRやMSなどに加えて音の発生部分に対して処理できるようになった
  • Upward Compression:小さい音量を持ち上げてマキシマイザーを適用するパラメーター

11の性能が上がったのは同社RXの機能を活用したStem FocusとClarityの影響が大きいように感じます。

その他にもAIアルゴリズムやデザインの変更などがされています。

グレードの選び方

グレードは3種類ありますが、「Advanced」以外だと使用できる機能が制限されてマスターアシスタントの性能が落ちるため、購入するなら基本的には「Advanced」がおすすめです。

Elementsは無料版が配布されることもあるので、待ってみるのもありです。

Standardでは各モジュールを個別に使用できますがClarity、Impactといった目玉となる機能が付属していません。

どうしても他のプラグインと併用したいという方はこちらでも良いかもしれません。

Ozone 11の機能

Ozone 11は詳細に解説していくと長くなるのでざっくりと7つに種類を分けて紹介します。

マスターアシスタント

AIが適切な処理を提案してくれる機能です。

あまりマスタリングについて知識がないクリエイターでも、とりあえずこれを使うだけで素人っぽい音がプロクオリティの音圧になります。

直感的に操作できるパラメーター。ボーカルとオケの音量も調節できる。

リファレンス(参考にしている音源)とイメージが違う場合でもここから補正していくと素早く処理ができます。

イコライザー系

似た機能も含めて以下のような種類があります。

  • Dynamic EQ:音量に合わせて反応する動的なEQ。
  • Equalizer:ミニマルフェイズ(アナログ)とリニアフェイズ(デジタル)が使えるEQ。
  • Vintage EQ:Pultec EQP-1A、MEQ-5をモデルにしたアナログ系EQ。
  • Match EQ:参考音源をキャプチャして自動的に合わせるEQ。
  • Low End Focus(Advancedのみ):低音の処理に特化したEQ。
  • Stabilizer:目的に合わせてトーンを緩く動的に調整するEQ。

1つ1つどれをとっても優秀ですが、Ozone全体で使わないと扱いが難しいものもあります。

位相のズレや遅延を確認する機能もあり、こだわる人にとっては非常に便利です。

コンプレッサー系

リミッターやマキシマイザーもコンプの仲間としてまとめています。

  • Dynamics:マルチバンドコンプ。
  • Vintage Comp:フィードバック方式で信号検出を変更できたりするコンプ。
  • Vintage Limiter:Fairchild 670をモデルにしたリミッター。
  • Maximizer:設定したLUFSに自動で調整してくれる超有能マキシマイザー。
  • Impact(Advancedのみ):マルチバンドで直感的にダイナミクスを大小を変更する。

Ozoneのマキシマイザーは簡単すぎて一度使うと癖になってしまいます。

Impactはコンプのように圧縮するだけでなく持ち上げることも可能で、緩やかなトランジェント(音の輪郭)のコントロールに適しています。

サチュレーター系

サチュレーターは歪みを倍音を加えて厚みを出したり、独特なキャラクターを生み出すときに使います。

  • Exciter:マルチバンドで様々にキャラクターを変更できるサチュレーター。
  • Vintage Tape:Studer A810を元にしたテープエミュレーター。

エキサイターはマルチバンドになっているおかげで不要な音がブーストされるのを防げるので非常に便利です。

アナログな質感を出すためにはテープシミュレーターも欠かせません。

イメージャー

イメージャーのモジュールは1つだけになります。

Imager:マルチバンドで調整できるイメージャー。

LRやMSのバランスを変えるイメージャーはあらゆる処理の部分において大きくバランスが崩れる原因にもなりますが、マルチバンドや適応するモードを変更することで綺麗に調節ができるようになっています。

ディエッサー系

最近特に注目されているレゾナンス系プラグインです。

  • Spectral Shaper:耳障りなレゾナンスを抑えてくれるSoothe2のようなやつ。
  • Clarity(Advancedのみ):レゾナンスを調整して隠れたマスキングを除去してクリアにしてくれる。

不快な音を取り除く効果はDynamic EQやSpectral Shaperでも可能ですが、Clarityでは直感的な操作でクリアにラウドネスを増加させてくれます。

レゾナンス:共振・共鳴。楽器や空間の特定の音が重なりあって不快に感じる周波数が増加している部分。

マスターリバランス

ノイズ除去プラグインのiZotope RXから継承した機能。

ガッツリ歌の音量を変えてもかなり綺麗。

2mix状態の音源からボーカル、ベース、ドラムの音量バランスを変更することができます。

Stem Focusでは分離した各パートにエフェクトを適用できるので擬似的にミックスバランスを変更できます。

使ってみた感想とメリット・デメリット

ボタン一つでプロ級のマスタリングが完成するのが本当にやばい。

これまでも品質は高かったのですが、近年注目されていたレゾナンス処理にとことん対応して独自の進化を遂げ、RXの要素を取り入れて2mixからステムごとの調整できるようになり、ついに完全体になってしまったような実感があります。

普通のマキシマイザーのようにスレッショルドを下げてもAI処理でラウドネスをコントロールするので適当に音圧を上げても聴きづらくならない

知識や経験が少ないクリエイターなら気軽に高品質なマスタリングができて、こだわりのあるプロエンジニアでもアルゴリズムによる提案やアウトボードとの併用でさらに効率的にマスタリングができる。

とんでもない性能ですが、今回の進化ではデメリットも少し増えました。

メリット
  • 知識や経験がなくてもプロクオリティのマスタリングになる
  • 音圧を上げても不自然になりにくい
  • MIXが多少悪くても良くできる
  • イメージに合ったマスタリングも簡単
  • エフェクト単体で使っても強い
デメリット
  • 負荷が高く重いのでPCスペックが低い人には不向き
  • パラメーターが多いため完全に使いこなすまでは時間がかかる
  • 処理がうますぎて心が折られる

 

性能が上がった分さらにPCのスペックが必要になりました。

また機能が増えた分つかいこなすのが大変で、ある程度同じような機能のプラグインを持っている人ならなんとなくわかりますが、似たような機能が増えたので細かく扱うのが難しいです。

これまで自分でマスタリングをうまくしていたつもりでも、マスターアシスタントと比較してみると甘かった部分が見えてきます。

まとめ

Ozoneは2mixの音源に大きく調整ができるようになりましたが、あくまでマスタリングツールなのでこれだけで全部が良くなるわけではないです。

クリエイター側からすると、かなり時短でコスパの良いものになっていて、複雑なパラメーターを細かくいじらなくても即良い音で仕上げてくれるので本当に助かります。

マスタリングが苦手な人や面倒なことをすっ飛ばしてできるだけ楽に良い音を手に入れたい人に超おすすめです。

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